衛生環境を改善せよ!大統領の看板はいらない!

ひさびさのシャワーで汗を流したカライクムの宿。
あまりいい宿とはいえなかったけど、まぁ暖かいシャワーが浴びれただけでも良かったとしよう。

カライクムからホーログまでは240km
平地なら、もしかしたら2日で着いてしまうかもしれない距離なんだけど、結局4日間もかかってしまった。
道の状態も良くないところが多く、細かいアップダウンも多くて、一日の走行距離は60~70kmくらいが限界。
あまり急がずに、ゆっくりのんびり前に進むことにする。

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(対岸はアフガニスタンだ)

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国の施策は、大統領の看板を立てること?
この国道M41号線は、最大の支援国中国とタジキスタンを結ぶための重要な貿易路になっている。
大型トラックがひっきりなしに通る道だ。

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政府の能力を疑ってしまうのは、やはりこういう重要な道でも舗装工事を行わない点。
個人的には、十二分にトラックが通れるような状態の未舗装路は、最悪後回しでも構わないと思っている。
でも、このホーログへの道には、”明らかに通行の弱点になっていて、連日トレーラーが立ち往生する場所”がある。
僕たちがホーログへ向かう時も、帰るときもトレーラーが立ち往生していた。経済損失もかなりあるだろう。

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(道を塞ぐトレーラーは2時間後にやっと脱出)

ドゥシャンベの豪華絢爛な建物にお金をかけたり、あるいは大統領の看板にお金をかけるなら、こういうわずか数百メートルの隘路を直したほうがずっと国のためになると思う。
大統領の看板や実績を吹聴するような施策に金をかける国にまともな国はない。というのが、僕たちの持論。
タジキスタンはまさにこのパターンだ。国民たちが可哀想である。

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(至る所にある大統領の功績をたたえる看板。大した功績があるとも思えないのだけど。)

衛生環境を改善せよ!
タジキスタンやウズベキスタンのトイレは、壮絶だ。
石田ゆうすけさんが著書でも書いているけど、日干し煉瓦とブルーシートで作られたトイレは、板が張ってあり、穴があいているだけ。
ハエは糞尿にとまり、そして人間にとまる。

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(これがタジキスタンのトイレです。)

「こういう衛生環境をなんとも思わない。」という意識やあるいは教育にまず問題があるように思う。
批判だけではいけないので、個人的な改善点を上げれば、各集落に合同水洗トイレを1箇所整備すればいいと思う。
トイレは日本の技術を提供してもいいし、中国の技術でもいい。とにかくハエが大腸菌を媒介するような環境を防げれば、住民の衛生環境を改善できるし、コストもかからない。
ただ、おそらく後四半世紀たっても、トイレは改善しないように思う。教育の問題もあるし、住民たちがそれでよいと思い続けている限りはどうにもならない。
(実際の所、外国人向けのホームステイ先のトイレは水洗トイレも存在する。つまり不可能ではない。ということ。)

同じように水道も問題だ。
元々沢からの比較的綺麗な水に溢れているこの地域。住民たちはその水を無濾過で飲んでいる。
問題は牛や山羊が基本的には放し飼いだということ。当然糞尿も混じる。それに人間のためのトイレも、水場の近くに設置されていることもある。
小規模な濾過装置を集落が取水している沢の上流に設置して、給水塔をたてれば、それだけで改善するのに。しない。
きれいで安全な水が確保できない。というのは、医療にも当然影響がある。

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携帯電話の無線中継所は各集落に必ずある。
携帯電話はどこでも使うことができる。そんな金があるなら、まず衛生環境の改善に資金を使うべきでは?

ただ、ふと思うこともある。
こういう考えは、「西側の先進国民(先進国の定義もあるけど)からの押し付け」なんだろうか。と。
要は、「長生きすること、健康であることはいいことなんだろうか?」という問題で、死生観とも絡んでくる問題だ。
輪廻転生の考えを持っていれば、現世での長生きにこだわる必要もないのかもしれないし。
(僕は現世で長生きしたいですけど。)

国の発展とは?
自転車で地続きに世界を走ると、いろいろなものやことに目がとまり、そして考える。
「発展とはなんだろうか?」、「幸せとはなんだろうか?」

日本人は、おそらく世界でも10本の指に入るほど、贅沢の情報に囲まれていると思う。
つまり、お金の使い道を知っている。

タジキスタン人やパミール人は仮にお金があっても、その使い道は限られているから、あまり持っていても仕方がない。(と思う。)
「富の使い方を知ってしまうことは、人間にとって幸せなことなんだろうか?」という問題に、答えが出せない。
「便利なこと、快適なことが巡り巡って自分たちが幸せになるために必要なことなのだろうか。」という問題を、しっかり考えていかなくてはならない時代なんだと思うようになってきた。

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(屈託のない笑顔を見せる子供たち。タジキスタンの一人あたりのGDPは1,036ドル/日本は38,491ドル(2013)この笑顔の前では、この数値にどれほどの意味があるのかわからないけど。)

パミール人とタジキスタン内戦
話はちょっと変わるけど、このカライクムの町から東は、ゴルノ・バダフシャーン自治州という州に入ることになる。
このバダフシャーン州に住む住民は、対岸のアフガニスタン国籍の人々と合わせて、「パーミーリー」と自称するパミール人が住む土地となる。
パミール人の話すパミール語は、学術的な検証の結果、西イラン語群に属すタジク語とは異なり東イラン語群により近い言葉だそうだ。(Wikiより)
タジク人とは違う民族が住む地域ということになる。

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(Facebookっぽいシャツを着たパミール人のおじさん)

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(ルシャンでひらかれていたパミール人の柔道大会)

1992年から1997年にかけて発生したタジキスタン内戦。政府勢力と対峙したのが、このパミール人たちだ。
カライクムはその要衝となり、カライクムの北にある峠周辺に大量の地雷が敷設され、日本の支援で地雷除去が行われているのは前回の日記に書いた通り。

現大統領のラフモンは、富裕層の比較的多かったクリャーブ出身。内戦が集結した後も、国内の発展から取り残された地域でもある。
そのためか、道の至る所に、イギリス、スイス、EU、日本あるいは国連WFPなどからの支援を記した看板が立っている。
道端で自転車を止めて休憩をしていた時、ふと足元を見ると銃弾が落ちていた。

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(イギリスとスイスの支援を示す看板)

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(中程に錆びた銃弾)

ホーログまでは3泊4日、野宿が1回、民泊が1回、チャイハナにキャンプが1回。
事前にパミール人は親切、という話を聞いていた。それでも、チャイハナの空き地にキャンプをした時は、法外な金額を請求されたりと「旅行者からお金を取る。」という意識が比較的強い民族のような印象を受けてしまった。
前回のタジキスタン人も含め、”民族括り“にしてはいけないのだけど、そういうことが重なるとつい”民族性に起因するのではないか”と勘ぐってしまいたくなる。

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(野宿をした東屋)

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対岸はアフガニスタン
対岸のアフガニスタンについても少し書いておこうと思う。パンジ川を挟んで対岸はアフガニスタンのバダフシャーン州になる。
住んでいる民族はパミール人とほぼ同じだ。ただ現在は国境が開放されているようではないので、流動は少ないと思う。
タジキスタンよりも貧しさを感じる日干し煉瓦の建物が並んでいる。
時折、携帯電話の無線中継所が建っているが、タジキスタンよりは明らかに数が少ない。
通る車はランドクルーザーばかり、その他の移動手段は、ほとんどバイクか、ロバか、徒歩だ。

声は聞こえないけど、こちらが手を振れば振り返してくれる。
アフガニスタン人とのコミュニケーションは毎日の日課だった。

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(舞踊を披露してくれたアフガニスタン人の女性)


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